>> .アリス様からのリク。 <<









* 兄さんは夜なべをして? *










こちらは都内のとある一軒家

庭付き一戸建てなんてこの狭っ苦しい都内には珍しい

が、立派なのは外見だけで 中身は狭かったりする

そんなのほほん一家には二人の子供がありました

長男・玉八  長女・

こちらの兄妹は仲の良い兄妹だと御近所さんでは有名な事で

そうなったのはチビっこい頃から同じ部屋だったというのもある

逆に仲が悪くなる可能性もあったのでは?と思うが

この兄妹の場合はそんな気配は

全く

無かった

何故ならこの兄妹、人情溢れる他人思いだからだ

聞こえは良いが一言で言うと お人好し だ

そんな兄妹の一人に一大イベントが起ろうとしていた



「あ〜〜〜〜っっっ どうしよう、どうしよう」



深夜近くに兄である玉八は明日の事で悩んでいた



「兄さ 煩いよ」

、明日は兄さの一大イベントなんだよっ」

「うん、仕事から帰ってきてからずっと言ってたよね。
えぇっと誰だっけ?名前で呼び合わないから忘れちゃった、まぁ良いか
兎に角明日兄さの嫁候補と でぇと でしょ?」

「そうだ、そして兄さは明日 そ、そのなんだ、プ プロポーズをだな」

「して玉砕?」

「妹よ、縁起でもない事をやすやすと言わんでくれ。」

「まぁ大丈夫じゃない?だってこんな兄さと付合ってるんだから
それなりの人格者だよ、うん」



はのほほんと二段ベッドの上から顔だけを出して言う

だが兄のベッドを覗いて目を見開いた

大量の本だ

いや、ただ単に本なら良い、それは人の趣味だ

だが、今兄が広げているのは全て そう

全て



“必勝!プロポーズ成功例!!《税込み586円》”だとか

“成功間違い無し!プロポーズシチュエーションマニュアル!!《税込み432円》”や

“プロポーズする君へ!ナウいファッション番付 《特別価格398円》”だ。

因みにシチュエーションの内容でツッコミたいものがあったから一つチョイス

“婚約指輪をワインの中にポチャン、彼女が飲み干すと婚約指輪がこんにちわ”

まずポチャンっていう効果音ってどうよ、確かにポチャンみたいな音はでるだろうよ

だけど別に本にまでその効果音を文字にして表さなくても良いんじゃないだろうか

次にワインという所だが、兄さも彼女も年齢的には高校3年だ

これはワインと書いてあるつまりワインでないとイケナイみたいだ

きっと裏ではワイン業界が手回ししているんだろうが

そんなことよりも二人はまだ飲んじゃいけません!

最後に婚約指輪がこんにちわ これはどう考えても有り得ない話しだ

婚約指輪に何か仕掛けがあるなら納得がいくが

そんなことしたらあのシャープな細さと光沢はないんじゃないか?

それ以前に液体の中に入れたらヤバイだろうに

そしてもう一つの本に目を向けてみるが“ナウイ”って言っている時点で

絶対古臭い格好だろうよ、今は最先端技術が日々進歩する時代よ?

一体全体いつの時代の格好をしてプロポーズするんだか

ジーパンにジージャン、バンダナにサングラス、おまけにアフロが

もてはやされた時代とは違うんだ

そんな思いを頭の中で繰り広げていた

現実に戻るために頭をブンブンと振って兄を見た



「なぁ 、一体どんなことを言えば良いだろうか」

「へ? あ、あぁ えぇっと・・・・・・?」

「だから、プロポーズの言葉だよ」

「あぁ・・・・・・」

「これを読む限りではさ“君の味噌汁を毎朝飲みたい”とかなんだけど
僕 彼女の味噌汁飲んだ事無いんだわ」

「・・・・・・兄さ・・・それは例であって別にそれに従えなんて何処にも書いとらんよ?」

「そっか・・・じゃあ は今付合ってる彼にプロポーズされるならどんな言葉が良い?」



そう玉八に言われて は自分の現彼氏を思い浮かべて考えた

−“ 、お前は一生俺の奴隷だ。否定権は無ぇ”−

そう言って欲しいのではなく、甘い言葉なんて思い浮かばなかったのだ

というよりも、本気でそう言われそうで怖かったりする

もう一つ考えてみた

本気で甘いヤツ

−“ 、俺だけの 。誰にも渡したくねぇ・・・一生側にいろ、
お前の年老いた顔で笑うのは俺だけで充分だ”−

これでも精一杯甘くなるようにと考えた結果だ、それでも命令形なのは

彼の性格からして欠落する筈が無い。

というよりも欠落してお願い系とか問い系になったりしてみろ、チキン肌だ

は小さく身震いをして頭を振った



「考えるだけでもオゾマシイ」

「どういう彼氏だよ」

「悪魔みたいな?」

「・・・ま、まぁ良いや、 としては男になんて言って欲しい?」



はもう一度考えてみた

自分としてはシンプルに 結婚しよう で良いんだが

なんせこの兄だから・・・なんて思いながらも素直に答えた



「結婚しよう で良い」

「素朴すぎ、もうちょっとだな、インパクトのあるさ」



ほら

は思った

この兄だ、個性的な物を好むに決まっている

あんな解答じゃー納得しない

そこで はある妙案を思い付いた



「だったらさ、兄さが今一番誇りに思っている事を絡ませていってみれば?」

「今一番誇りに思う事?」

「うん、例えばさ 父さん母さんの反対押し切ってまで中卒で
就職した厳ちゃん工務店(武蔵工務店)での仕事、誇りじゃない?」

「大工の仕事柄を絡めるのか・・・・・・」



玉八は腕組みをして考え出した

今はもうあの胡散臭い三冊はごみ箱の端においやられてる

ふと が壁に掛かっている時計を一瞥すると既に深夜1時を周っていた

これは今日の兄さはテンションが高いだろう

などと思っていると玉八は思い付いたように顔を上げた

「何?」

「僕天才かな、いいか?良く聞け“僕の心に君がエアーネイラー”」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・あー・・・ ?駄目・・・だった?」

「・・・・・・・・・ぃゃぁ・・・・・・良いんじゃない?兄さらしいと言えばらしい・・・
意味ワカンナイけど・・・




は最後の言葉だけ聞えないように小さな声で言ってから笑顔を作った

それを聞いて玉八も満面の笑みを称えて

ようやっと布団に潜りいびきを立てて眠りに就いた

翌日、一大イベントのでぇとから帰って来た玉八は昨日の眠りに就く前と同じ

笑みを浮かべて帰って来た

っ!兄さはやったぞ!」

「良かったじゃん。ねぇ、言ったの?あのプロポーズ」

「当たり前さ、“意味わかんない”って言われたけどな!」



だぁーはっはっは

と笑って玉八はリビングへと入っていった







−おまけ−



「ねぇ、妖一」

「ぁん?」

「もし私にプロポーズするならさ、妖一はなんて言ってくれる?」

、お前は一生俺の奴隷だ。否定権は無ぇ」

「・・・・・・・・・そう。やっぱり」

「あぁ?なんだよ悪ぃか」

「全然、妖一らしいよ・・・・・・うん。」



は甘い方の考えを思い出し、鳥肌を立てながら頷いた






−完−









=アトガキ=

前振り長っ!んでもって玉ちゃんの玉八って名前?苗字?解らないから名前で!
えぇっと・・・アリス様、こんなもんで良かったんでしょうか?
文才のぶの字もありゃしない北斗めにはこの程度しか書けないのですが・・・
今更ながらに補足です。
玉八は厳より年上で、厳やヒル魔、ヒロインちゃんが中3年の頃には
既に高校三年くらいの年代で・・・だっておかしいデショ?

男子の結婚OKな年齢は18歳な訳ですから、しかも厳ちゃん1年生時では既に
嫁さんのお腹の中には赤ん坊っすよ!?
と言う事で玉ちゃんは3歳年上にさせて頂きました。

そう思ったらなんか玉ちゃんって手ぇ早いよね・・・・・・
・・・・・・できちゃった結婚!?  んなわけ無いか・・・無いよね!?
妖一君出張ってます。あくまでも“玉八兄妹夢”ですので・・・お忘れなく

ここまでお付き合い下さいまして有難うございました
でわ、はっぴーにゅーいやー!!