俺が欲しいもの?

そーだな・・・



お前の笑顔とか?









   季 節 を 添 え て 









放課後の部室。

は、栗田達と練習で使った用具を片づけていた。

が、ちらと横を見やれば、カタカタとパソコンを弄る男。



「ヒル魔、片づけ手伝ってよ」

「あ? ・・・はいはい」



ヒル魔は足でノートをの前に寄せた。



「・・・もう」



ふぅ と軽いため息をつき、床に散らばったそれらを拾い集める。



「ヒル魔ってば、ちゃんの言うことはちゃんと聞くんだねー」

「うるせーファッキンデブ!しっかり掃除しやがれ!」



































それから数時間。

ヒル魔がふと時刻を見ると


 『 12月24日 21:20 』


もうこんな時間か

ヒル魔はパソコンをぱたりと閉じ、栗田達を早く帰れ、と部室から追い出した。



「明日はクリスマスだね」



帰り支度をしていたヒル魔に、は問いかける



「・・・そーだな」



気がつけば、今年の終わりに 残されたイベントが一つ。



「ヒル魔は欲しいものとかあるの?」

「奴隷」



星の数ぐらい、そう言って笑ってみせるヒル魔。



「俺より・・・お前は?」

「ん?」

「何が欲しいんだ?」

「そーだなぁ・・・」


" 甘い言葉とか " 頬を少し赤らめて呟く


「何、お前・・・言葉だけで満足するのか?」

「え?」



部室に鍵をかけながら、ヒル魔は言った。



「俺、明日一日ヒマなんだけど・・・俺を独占しなくて良いのか?」


に後ろから覆い被さるように抱きつき、耳元で低く唸る。



「えっヒマなの?」

「あぁ・・・どっか行くか?」

「行く行く!」



やったぁ!ヒル魔とデートだ!!、ヒル魔の腕から逃れ、空に高々とガッツポーズをする

声がでかい!ファッキン!!、ヒル魔にそう言われながらも、は幸せそうに傍らの男に寄りそった。

































「ヒル魔、これ凄くない?氷の滑り台!」
「ヒル魔、あっち見よう!」
「ヒル魔、早く!」



いつもより少しだけ はしゃいでるを、ヒル魔は一歩引いてみていた。



「あっ雪だ!」

「・・・だな」



ひらひらと雪が舞う空を見つめる

ヒル魔は、そんなが何故か愛しくて、の指に自分の指を絡めた。



・・・お前には感謝してる」

「え?・・・どうしたのヒル魔。らしくないね」



熱でもあるの? は大きく背伸びをし、自分のおでことヒル魔のおでこをくっつける。



「なんでもねぇ。・・・ただ言いたくなっただけだ。気にすんな」



ぷぃ とそっぽを見るヒル魔に、は「可愛いなぁ」と頭をわしわし、撫でてあげる。

おら行くぞ、絡められた手を引かれ、転けそうになりながらもヒル魔についていく





























「ちょっと、どこまで行く気?」

「いいから、黙ってついてこい」



は目隠しをされ、ざくざくと雪道を進んでいくヒル魔についていく。



「この目隠しは何?」

「いいから」



毎日、ありふれた日常に追われているヒル魔達。

でも今日はクリスマス。

今日ぐらいはのために何かを贈ろうと、ヒル魔は思いをめぐらせていた。




ヒル魔はある場所までたどり着くと、の目隠しを解いてやる。

そして息を大きく吸い、夜空に向かって大声で「ライトアップ!!」と叫んだ。



「えっ?」



の目の前に現れたのは、色とりどりのライトに照らされたオブジェや、クリスマスツリーだった。



「特別な演出は苦手だったけどよ。・・・試しにやってみた」



少し照れた様子で笑うヒル魔。



「・・・気に入ったか?」

「うん・・・凄く!!」



大手広げて、自分に抱きついてくるに少し焦りながらも、ヒル魔は嬉しそうに抱き留めた。



「ねぇ・・・これどうしたの?」

「あ?」

「このオブジェとかライトとか・・・お金かかったんじゃない?」

「あぁ・・・これ」



スッ とヒル魔のポケットから出された脅迫手帳を見て、は全てを理解したよう・・・



「ちょ、こんな事にまで使わなくたって良いのに・・・」

「何言ってんだよ、テメェに使わねぇで、誰に使えってんだよ」



を抱きしめるヒル魔の手に、力がこもった。



「寒ぃし、そろそろ帰っか」

「うん」



















ヒラヒラと雪が舞う並木道

いつの間にか灯る街の光。



「ねぇヒル魔」

「あ?」

「これからもずっと一緒にいてくれる?」

「当たり前だろ」

「ありがと」



そう言って笑うを、ヒル魔は温かい表情で見つめる。



「・・・俺」

「ん?」

「『お前を守る』とか簡単に言えねぇけど・・・ お前と同じ未来、見つめていきたい」

「・・・それって」

「そーゆー意味だ」



赤い顔を見られないように、とヒル魔はを抱き寄せ、肩に顔を埋める。







の笑顔 ただそれだけを見たくて・・・

クリスマス。 二人にとっての 特別な日。

でも今日だけ じゃなく、毎日 がだけに特別であって欲しい。







「でも・・・私なんかで良いの?」





白く光る季節を添えて





「ばーか。お前が良いんだよ」





君だけに伝えたい


この気持ち 俺の想い





























>>> fin <<<









>後書き<

皆さんお久しぶりです!(何
今年最後に、ようやく、椿とヒル魔が帰ってきました!!
いやぁ・・・復活まで長かった(一回死んだのかよ

復帰第一作は・・・クリスマスネタでヒル魔さん!
この作品、思いついたのが今月初め。
北斗とschoolでホッケーやってた時でした!(キラン

「クリスマスネタとか」
「いいね!」
「あとは・・・」
「クリスマスにやっちゃう?(笑)」

なんて会話しながら考えました。(因みに上から北斗、椿の順


さてさて・・・復帰第一作、どうでしたか。
ハイそうですね。微妙です。 ・:( ε`(○=(凵L

こんな微妙な作品に、感想くれてやるよ! という心優しき方には、
管理人2人の愛をふぉーゆーw(いらね



ではでは、最後までお読みいただき、有難うございました。