>> .十文字一輝 視点。 <<
確か、あれは・・・
+マーガレット+
学校なんて、かったりぃ〜;
家にいたって、つまんね〜;
だから俺はコイツ等と、一緒にバカやってる。
今じゃ無二の親友、ってな。
俺は今日も、制服着たまま 黒木と戸叶とバイクでぶらぶら。
最初は登校していく奴等を結構見かけてたんだが、今じゃゴミ出しの主婦だけだ。
チラ、と時計を見れば、8:20を刻んでいた。
別に俺は、学校なんか行きたくねぇから、そんなことどーでも良いんだケドよ・・・
「あれは・・・」
「「 ? 」」
今時珍しく、寝癖をたてて、パンをくわえながら走る女。
確か・・・あいつは同じクラスの・・・
「
か・・・ どうしたんだろうな、あいつ。」
ひょい、とコミックから顔を上げて、戸叶が呟く。
一瞬俺は、飛び上がらんばかりに驚いた。
今までコミックにかじり付いてたヤツが、俺と同じ方を見てたなんて・・・ちとびくった;
だが戸叶は、そんなのお構いなしに、またコミックを読み始めた。
黒木も反応はしたみたいだったが・・・ 対して気にかかる事じゃなかったみてぇだな。
バイクにまたがって "あ゛ー だりぃ〜 "ってさっきから唸ってる。
そんな二人を後目に、俺はもう一度を見る。
寝癖がたった髪は、どうやら直せたみたいだ。
パンは未だにくわえたままだが・・・
何度か手の方をチラチラ見ながら走ってる。
・・・転ぶぞ。
俺の中じゃ、っつー奴は "ドジ "ってのが定着してる。
そんな"ドジ "なが転ばないわけがない・・・
どてっ
・・・転んだ。
ホラ見ろ。 転んだ。
すると ずっとを見ていたのがバレたのか、戸叶が "行けば?" なんて言ってきやがった。
「はぁ?」
な、何でだよ。 俺は戸叶に言う。
「はぁぁあ?!?!」
黒木・・・ バイクから落ちてんじゃねぇよ;
「今日の血液型占い、お前一位だぞ」
ほら、行けって。 とん、っと俺の背中を押す戸叶。
初めは、戸叶の言ってる意味が分からなかった・・・ ぃゃ、"分からないフリ" をしてた。
でも戸叶には、この"フリ" は無意味で、"行って来いって" と、くり返す。
はは、バレてんだな、戸叶には・・・
いつもは3人で乗るバイクに、俺一人でまたがる。
黒木は意味が分かんねぇって顔して、一人で3人分の"はぁ?" を言いまくってる。
黒木、少しは成長しろって・・・(汗
俺の色恋、邪魔すんなよ・・・
俺がバイクのエンジンをふかして、チラとの方に目を向けると、はちょうど立ち上がって、
落としたパンを名残惜しそうに見つめている。
まさか、拾って喰うとかは・・・
だぁあああっっ!!拾ったぁー!!
喰うなよ!? 喰うんじゃねぇーぞ!? そんなに腹減ってんなら俺が奢って・・・
あーっ! ・・・って何だよ; ゴミ箱に捨てただけか・・・ びくった(冷汗
あぁ、エンジン・・・ 興奮しすぎてふかしすぎた・・・;
げっ・・・黒木が煤だらけ・・・ 今度奢るから、勘弁な・・・?
とりあえずバイクを動かして、の前に行く。
行くけどよぉ・・・ 何言ゃ良いんだよ;
"やぁお嬢さん、俺の白馬(バイク)に乗るかい?" ・・・キモイな。
" Hey!彼女w 俺の相棒(バイク)に乗るかい? " ・・・誰だよ、お前。
まぁ、とりあえず動きゃあいいか。
そして俺は、の前に行く。
「あ、十文字くん・・・ おはよっ」
「おぅ・・・ なにしてんだ?」
「うん、寝坊しちゃって・・・って!そうだよ、遅刻する!」
はそう言うと、話もそこそこに走り出そうとする。
このままじゃ、戸叶や黒木の・・・ぃゃ、戸叶のか。 行為が無駄になっちまう。
さっきみてぇに、言葉がでねぇんなら動きゃあいい。
いつも、そうしていたように。
ヒョイっ
呆気ねぇもんだ、の体は、スピードを落としたバイクに、いとも簡単に乗っかった。
は、え?って顔して驚いている。
「乗せてやるよ」
「え、でも、悪いよ」
「いーから、腰掴まれ。あとヘルメットかぶれ。」
何も言わせない。
俺の腰に腕を回すの手から感じるぬくもり。
今日の占いは、俺が1位らしい。
「ちゃんと、覚えてたんだな」
「何?」
「名前」
「ぁ・・・うん。だって・・・」
「あ?」
「ぅぅん、"一輝"くん、ありがとう」
「・・・おぅ」
生徒玄関前にギリギリで到着。
タンッっとバイクから下りて、玄関へ向かうを、俺は呼び止めた。
「!」
「ぇ?」
ポスッ
ちょうどの腕の中に収まった、焼きそばパン。
「俺の昼飯、お前にやるよ」
俺は、顔を上げられなかった。
チラ、と見れば、は華やかな笑みで、"ありがとう" と、はにかんだように言う。
今日の恋愛運、俺が1位らしい。
〜 Fin 〜