病気の時だけ、母性本能むき出しにする奴、いるんだよね。
以外にも、私の大好きな 彼 も・・・
M y G e n t l e M a n
額にひんやりと冷たい感触。
ふわりと漂う甘い匂いとともにの夢の中に届く。
「ん・・・一輝?」
「あァ悪ぃ。起こしちまったな」
「大丈夫。別に良いよ」
「そっか。熱は・・・38度と少しってトコだな。」
目を開けると、のおでこに自分のおでこをくっつける十文字がいた。
「、顔赤ぇぞ。・・・熱のせいか?」
「・・・だ、大丈夫だって」
このシチュエーションで熱が上がらない分けないじゃない!
は心の中で叫び、布団に顔を埋めた。
今、体温計を咥えれば、水銀が飛び散るかも・・・
さもなくば急激に上がる体内温度と血液の激流に、風邪のウイルスも驚くはずだ。
すると突然、「汗は・・・」とパジャマの襟から首の後ろへと手を入れられた。
「きゃぁ!? な、なに!?」
「なにじゃねぇよ。・・・汗かいてたら着替えた方がいいだろ?」
極々平然と答えられて、ビクッと反応した身体が恥ずかしい。
「お前、汗もかいてねぇし・・・この分だとまだ熱は当分下がらねぇだろうな。」
繊細な女心に鈍感な十文字は、勝手にときめき勝手に焦るの様子に、何も感じていない素振り。
「これ・・・食えるか?」
十文字が持ってきたのは、おかゆとが好きな具だくさんのミネストローネ。
「美味しそう・・・、これなら何とか食べられそうかも。」
「さっき姉崎・・・先輩が持ってきてくれた。『のピンチ!』とか近所に響くぐらいの大声で言ってたな」
「あはは、まもってば」
「セナはセナで『がアブナイ!』って学校から大量の薬もらって来やがって・・・ホラ。」
そう言うと十文字は、セナから受け取った薬の袋をぺらぺらとはためかせた。
「ごめんね、一輝。何から何まで・・・」
十文字はコップに水を注ぐと、ベッドの横の椅子に腰を下ろした。
「その台詞は姉崎先輩とセナに言うべきだな。・・・俺はそれを運んできただけだから。でも・・・」
「・・・でも?」
「看病してんのは俺だから・・・やっぱり俺だけに言ってくれ」
十文字は軽く笑うと、の身体をそっと起こし、枕を背中にあてがった。
「ふっ・・・一輝・・・」
一輝でもそんな風に考えるのかと思うと、それだけでは嬉しさと可笑しさを隠せずくすくす笑う。
「何、笑ってんだよ。ほら、口開けろ」
「え?食べさせてくれんの?」
「あァ仕方ねぇだろ。辛ぇんだろ?・・・その代わり、此処に有るもの全部食わせてやるからな。」
十文字は、にやりと笑みを浮かべるとスープをすくったスプーンをふーっとひと吹きしてから差し出した。
「ん・・・おいし。」
たっぷりの栄養と十文字の優しさが詰まったスープで、は少し身体が楽になったような気がした。
ごちそうさま、と最後まで食べ終えたに十文字は「よしッ」と頬を撫で、そのままの頭を拘束して口づける。
「んっ・・・風邪移るよ。」
少し頭を引いてそれだけを言うに十文字は返事もせずにキスを続けた。
の熱をも奪おうとするかのごとく。長く深くいたわるように舌を絡ませて、余すとこなく味わうように滑らせる。
それでも息さえ乱さない十文字とは対照的に、はゆっくりと息を整えた。
「移ったらどうすんの。」
心とは全く逆の当たり前の言葉が照れ隠しとなっての口からこぼれ出る。
「アメフトやってる俺が、そんな柔に見えるか?」
「・・・・見えない」
「だろ?・・・それよか、キレイになったぜ?口。」
食べさせてもらってスープがついた唇の周りには、確かに何も残っていない。
もう!と拳を上げようとするを十文字は軽々とあやして横たわらせ、毛布をかけた。
「しっかり寝て、ちゃんと風邪治せ。・・・じゃねぇと、気になってアメフトに集中できねぇからよ」
十文字はすっぽりと毛布に潜ったの額を軽く突付いた。
" おやすみ、未来のファースト レディ "
の耳元でそう呟くと、十文字はベットの近くの椅子へと腰掛ける。
暫くすると椅子に座る十文字が眠り始めて・・・。
その心地良さそうな表情に、もつられて眠りに落ちる。
と十文字がいないことで、蛭魔が大激怒していることなど、つゆ知らず・・・
fin
- アトガキ -
椿です!
・・・書いちまったよ、モンジ夢!!
こんなのモンジじゃねぇよ!って方。お手上げ!(はーい)
はい。そうですね。モンジじゃありません。(殴
この作品はリクを下さったトラ様へ。
こんな作品で良ければ、どうぞ。(笑